相続人と連絡が取れない場合の対処法を弁護士が解説
相続手続きにおいて、音信不通の相続人がいるケースは珍しくありません。
しかし、遺言書がない場合、その相続人を除外して手続きを進めることはできず、無効となるので注意が必要です。
本記事では、連絡が取れない相続人がいる場合の問題点と、6つの具体的な対応策について解説します。
連絡が取れない相続人を除いて相続手続きを実施したらどうなる?
遺言書に相続財産の分配方法が明記されている場合、相続手続きを始めることが可能です。
しかし、遺言書が存在しない状況では、法定相続人全員で遺産分割協議を行わなくてはいけません。
音信不通の相続人を抜きにして、遺産分割協議を行うことは法律上認められていません。
相続人全員が参加しない遺産分割協議は無効となるので注意が必要です。
連絡が取れない相続人への6つの具体的な対応策
相続人との連絡が途絶えている場合でも、以下の6つの方法で状況を打開できる可能性があります。
現住所確認のために戸籍の附票を取得する
相続人の連絡先や居所が不明な場合、まず戸籍の附票を入手することから始めましょう。
戸籍の附票には、そのひとの過去の住所がすべて記録されているからです。
ただし、転籍していた場合、転籍後の住所情報しか記載されていないため、前の本籍地で附票を取得しなくてはいけません。
住所が判明した相続人へ手紙を送る
相続人の住所が判明したら、手紙を送りましょう。
配達記録が残る特定記録郵便を利用すれば、相手方の受取状況を確実に把握できます。
直接訪問する
手紙を送付しても返信がない場合は、判明した住所への直接訪問を検討しましょう。
対面での話し合いは時間と労力を要しますが、相続問題の解決に向けた一歩となる可能性があります。
不在者財産管理人制度を活用する
住所調査や手紙の送付、訪問などでも連絡が取れない場合、不在者財産管理人の選任申立てを検討します。
この制度は、生存している可能性が高い音信不通の相続人に対して特に有効です。
不在者財産管理人は、行方不明者の財産調査や管理を行い、家庭裁判所へ報告する義務があります。
ただし、遺産分割協議や不動産売却などに参加したい場合には、裁判所からの許可が必要です。
遺産分割調停を活用する
連絡が取れない相続人がいる場合、遺産分割調停という法的手段を利用できます。
遺産分割調停も、生前している可能性が高い音信不通の相続人に対して有効です。
裁判所から公式な呼び出し状が送付されるため、これまで連絡を避けていた相続人が応じる可能性が高まります。
調停で解決できない場合は遺産分割審判に移行し、裁判所が遺産分割方法を決めることになります。
生死がわからない場合は失踪宣告を行う
連絡が取れない相続人への最終手段が失踪宣告です。
家庭裁判所の調査と審判を経て、生死不明の相続人を法律上、死亡したとみなすことができます。
ただし、失踪宣告では、複数の相続が同時に発生するため、慎重な対応が必要です。
まとめ
連絡が取れない相続人がいる場合、遺言書がない限り、そのひとを除外して相続手続きを進めることはできません。
対応策として、住所調査から始まり、手紙送付、直接訪問、不在者財産管理人の選任、遺産分割調停、失踪宣告まで、段階的な手順を踏むことが重要です。
相続手続きを円滑に進めるためには、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
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